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雲をつかむ死/アガサ・クリスティ

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「BOOK」データベースより
パリからロンドンに向かう定期旅客機が英仏海峡にさしかかった時、機内を蜂が飛びまわり始めた。
乗客の一人が蜂を始末したが最後部席には老婦人の変死体が。
そしてその首には蜂の毒針で刺されたような痕跡が残っていた…
大空を飛ぶ飛行機という完全密室で起きた異様な事件。
居合わせたポアロが調査を開始する。

飛行機の中という閉ざされた空間の中で起きた殺人事件。
しかも、その飛行機にはポワロも乗っていたのです。
ポワロの目と鼻の先で、大胆にも犯行に及んだ犯人。
すべての乗客の目をくらませた、その犯行方法とは…!

目の前で起きた殺人を止めることができなかったポワロ。
悔しかったんでしょうね。こんな言葉を口にしています。

私の鼻先で行われたんですからね。
ばかにしております。そうでしょう?
このエルキュール・ポアロが眠っているあいだに殺人が行われたとはね!

そのうえ、検視審問のあとで陪審員たちはポワロが犯人だという判決をだそうとしました。
犯行に使われたらしいものがポワロの座席で見つかったことなども原因の一つではありますが、一番の理由は『外国人』だから信用できないというもの。
自分にかけられた容疑を晴らすには真犯人を見つけるしかありません。
なんだかポワロはこの状況も楽しんでいるようです。
自信たっぷりの彼らしいですね。

ポワロの相棒といえばヘイスティングズですが、彼はアルゼンチンで牧場経営をしていて、たまにしかイギリスにやってきません。
そのためいくつかの長編では、事件に関わる他の誰かがポワロの相棒を務めることがありますね。
今作では、ジェーン・グレイという若い女性です。
頭がよくて魅力的なジェーンを相棒として選んだポワロの真意はどこにあるのでしょう。
それもまた謎の一つです。

早い段階である人物に目を付けていたポワロ。
最後に真相が明かされたときに、いろんな伏線に気付きます。
この作品も数度目かの再読なので、もちろん犯人もトリックも知っている状態で読みました。
それでも面白い…というより、それだからこそ面白いとも言えるかと思います。
あちらこちらにちりばめられているヒントを見つけながら、読むのが楽しいんですよね。

さて次は、ポワロがシリアル・キラーから挑戦状を送りつけられるミステリへと進みます。

刊行年:1935年
DEATH IN THE CLOUDS(DEATH IN THE AIR)

登場人物

エルキュール・ポアロ       … 私立探偵
ジェーン・グレイ         … 美容院の助手
ノーマン・ゲイル         … 歯科医
マダム・ジゼル(マリー・モリソー)… 金貸し業
アン・モリソー          … ジゼルの娘
アレクザンドル・チボー      … ジゼルの顧問弁護士
シシリ・ホーバリー        … 伯爵夫人
ヴェネチア・アン・カー      … 貴族の令嬢
ドクター・ブライアント      … 耳鼻咽喉科の医者
アルマン・デュポン        … 考古学者
ジャン・デュポン         … アルマンの息子
ダニエル・マイクル・クラインシイ … 探偵作家
ジェームズ・ライダー       … セメント会社の支配人
ヘンリー・ミチェル        … シニア・スチュワード
アルバート・デイヴィス      … セカンド・スチュワード
ジャップ             … イギリス警察の警部
フルニエ             … フランス警察の警部

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